看護師を選んだ理由
看護師は医師の診療の補助や患者のセルフケア介助を主に行う仕事。私には子供のころから看護師という仕事が身近にあった。それには母親が関係している。母親は准看護師で小児科クリニックにパートで勤めていた。小さな頃から、小児科のクリニックに馴染みがあり、風邪を引けば受診しなくても、病院で処方された薬も飲めた。現在は受診もせずに内服薬を処方してもらうことはできないが、昔はそれができたようだ。もっともクリニックだったからかもしれないが。一番身近で信頼のおける存在が看護師という仕事についていたこと、これが私には大きな影響を与えていた。子供の頃の夢はケーキ屋さんだったらしいが、それは子供の夢であり、現実的には看護師が頭の中にあった。
中学校に入り、職場体験を選ぶ時には迷わず看護師を選択したり、高校生の時には「ふれあい看護体験」に積極的に参加していた。すごく看護師という仕事がしたいということもなかったが、なぜか看護師を選んでいた。高校生は商業高校で主に簿記や経理を学び、周りの友人たちは事務職を選択していた。そんな中、私は手に職をつけたいという思いで、看護師以外の選択も考えた。介護士、エスティシャン、もしくは美術が好きだったため美術を学べる学校と選択肢を広げた。色々悩むなか、美術では食べていけない、エスティシャンは若いうちしかできない、介護士は看護師より立場が下で使われてしまうなど、偏見丸出し発言であるが、母親の意見を参考にしながら看護師を最終的に目標とした。また、看護師は安定した職業であること、歳を重ねても続けれる仕事であること、誇りを持てる仕事であること、給料が高いことなど当時は真剣に考えて選んだ。担任の先生のおかげもあり、無事に看護学校へ合格し、私は家を離れ寮生活をしながら看護師の勉強に励んだ。とんとん拍子という言葉が合うほど順調に学校が決まり、入学してから卒業まで順調に進んだ。もちろん看護師の勉強や実習は辛かったが、一緒に学ぶ仲間がいて、先生がいたからこそ頑張り抜くことができた。国家試験に合格するという一つの目標に向かって仲間と共に頑張って合格したことを鮮明に思い出せる。看護学生に戻りたいかと問われたら、絶対に戻りたくないと言えるほど看護学生は過酷なものであったが、今となっては頑張り抜いた、いい思い出である。
看護学生に看護師になりたい理由を聞いてみた
看護師5年目以上になると看護学生の実習指導をする役割を持つ。実習指導になり、よく看護学生に「看護師になりたいと思った理由」を聞いていた。なぜなら、自分はこれといったエピソードもなく、安定した職業という点で選んだからだ。学生たちはどうなのか気になってよく聞いていた。母親が看護師だからという理由や入院した経験があるという理由や、おじいさんおばあさんが入院した時に関わった看護師に憧れたなど様々であった。他にも、私と同じ理由で安定した職業だからという子もいた。あの時は、学生なりに必死にエピソードを考えていた子もいるのだろうか。それでもしっかりとエピソードがあって看護師を選んだという子も多かったことに驚いた。そういう子は、看護師という仕事に憧れ、現在も頑張っているのだろうか。

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