看護師の自己犠牲とは
看護師の「自己犠牲」は、患者のために尽くすことの美徳とされる一方で、自身の心身の健康を脅かす可能性があるという両面をもつ概念である。これは、看護師が職務上当たり前のように自分の限界を超えて働くことにつながり、過重労働やバーンアウト、離職の原因ともなる。
災害看護の研修を受けていた時に「看護師の自己犠牲」という言葉に初めて触れた。災害の現場に立つ看護師は、その場で助けを求める人に対し「何とかしてあげたい」という気持ちで大変な災害現場に向き合っている。そのため、現場では一生懸命に前を向いて働き続けることが自分に課せられた課題であり責任であると考え、ひたすら取り組んでしまう。そして、一連の日程を終え帰宅すると、悲しい気持ちや辛い気持ち、助けになっただろうかとう葛藤や疲労に襲われ放心状態になる看護師も多い。その場では、必死に目の前の助けを求める人に尽くすが、任務を終えると放心状態となり仕事や日常生活に支障がでてしまう。この事例を聞いて、まさに自分の病院でも同じことが言えるのではないかと確信した。災害現場だけでなく、日常の看護業務がすでに自己犠牲のもとで成り立っていることに気が付いた。
パワハラともいえるような医師とのやりとり、日々の多重業務、増え続ける認知症の対応、夜勤、残業、委員会や研究など業務以外の活動など看護師の仕事はストレスも多い上に不規則な生活習慣と、命に関わる責任のある仕事で心身は疲労困憊になるのも当然といえる。しかし、周りも同じ環境にある人ばかりで自己犠牲となっている自覚が持てていないのが問題である。
自己犠牲の背景
献身の文化
看護師の仕事には、「献身」や「自己犠牲」が美徳とされる文化があり、自分の健康よりも患者を優先する傾向につながりやすい。
組織風土
自分の労働環境の異常さに気づきにくく、それが過重労働やストレス、バーンアウト(燃え尽き症候群)につながることがある。
組織への影響
過度な自己犠牲は、心身の疲労、ストレス、離職意識を生じさせ、組織の健全なあり方を考えるきっかけにもなる。自己犠牲を減らし、健康を脅かすような組織風土を見直すことが、看護師がより健全に働き続けるために必要である。
自己犠牲をなくすために
幹部が看護師を守らなくてはいけない。医者がいなければ病院は成り立たないが、それと同レベルで看護師がいないと成り立たないことを意識していかなければいけない。
・すべての職員に対して自己犠牲についての研修を開催
・有休休暇の積極的な消費
・医師へパワハラの教育
・ストレスチェックと相談窓口の設置

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